オフィシャル・ライナーノーツ
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ジャム
前作「関ジャニ∞の元気が出るCD!!」(2015年11月)以来、約1年7カ月ぶりとなるニューアルバム「ジャム」が完成した。「パノラマ」「NOROSHI」「なぐりガキBEAT」などシングル5曲、岡崎体育、蔦谷好位置、ニセ明、BEGIN、水野良樹(いきものがかり)、UNICORN、レキシ(池田貴史)といった豪華なアーティストからの提供曲、さらにメンバーのオリジナル曲等によって構成された本作は、濃密かつ有機的な“ジャム”から生まれた、豊かで多彩な音楽性に満ち溢れた作品に仕上がっている。

ここ数年、関ジャニ∞は音楽的な活動に重点を置いてきた。軸になっているのは、2015年5月にスタートした音楽バラエティ番組「関ジャム 完全燃SHOW」(テレビ朝日系列)。毎回、様々なミュージシャン、クリエイターをゲストに迎え、楽曲制作の解説、バンド・セッションなどを行うこの番組を通して、関ジャニ∞のメンバーの音楽的な経験値は確実に上がっている。最近のインタビューでメンバーのひとりが「“関ジャム”を通して自分たちのスキルも上がっていると思いますし、年末の歌番組のイベントなどで“この前はどうもありがとうございました”と挨拶できるミュージシャンが増えましたね」という趣旨のコメントをしていたが、同番組をきっかけにして生まれたアーティストとのつながり、そして、ライブ活動などを通して――ロックフェス「TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2017」でも彼らは、ライブバンドとしてのポテンシャルの高さを証明した――獲得したメンバーの音楽表現の向上は、本作「ジャム」にも強く反映されている。

このアルバムのもっとも大きな特徴は、「ジャム」というタイトル通り、あらゆるジャンルを取り込み、関ジャニ∞独自の音楽世界を生み出していることだろう。ロック、ヒップホップ、ファンク、ソウル、ブルース、歌謡曲といった多彩な要素を“ごった煮”にする貪欲なパワー、そこから抽出したエッセンスを誰もが楽しめる楽曲へと結びつけるセンスこそが、本作のキモなのだと思う。それを可能にしているのはもちろん、メンバーのミュージシャンシップの高さ。“7人全員が歌い、演奏する”という特性を存分に活かすことで本作「ジャム」は、独創性とポピュラリティがバランスよく溶け合う作品として成立しているのだ。

丸山・安田・錦戸・大倉による「ノスタルジア」、横山・渋谷・村上が歌う「Answer」という2曲のユニット曲、そして、安田が作詞・作曲を担当した「Never Say Never」をはじめとするメンバーのオリジナル曲からも、各メンバーの個性がはっきりと伝わってくる。音楽のジャンル、アイドル/バンドの壁を越え、すべての音楽ファンに楽しんでもらいたい充実作だと思う。

(楽曲解説)

1 . 罪と夏
アルバムのトップを飾る35thシングル。サーフロックとグループサウンズを融合したバンドサウンドのなかで“真夏だ!ハッチャけよう!”というメッセージを気持ち良く響かせる夏ソング。メンバーのキャラクターを活かしたパーティ感たっぷりのAメロ、「今、君の八月を全てくれないか?」というサビのフレーズが織りなす感情のコントラストも印象的。

2 . 今
心地良い高揚感を生み出すメロディライン、ドラマティックなストリングス、エモーショナルな歌声の“ジャム”を体感できるアッパーチューン。作詞・作曲はニセ明、編曲を菅野よう子が担当。ソウルミュージックとジャズが絡み合うようなサウンド、“苦い経験を乗り越え、くだらないことで笑い合いながら未来に向かおう”という意志を込めた歌詞も素晴らしい。

3 . DO NA I
ピアノとホーンを活かしたサウンドのなかで、女の子に向かって“今夜、一緒に楽しまない?”とモーションをかける男子たちの姿をおもしろおかしく描いたナンバー。コミカルな要素を取り入れながら、音楽的なバックグランドをしっかり感じさせるボーカルは、まさに関ジャニ∞の真骨頂だ。

4 . なぐりガキBEAT
横山裕主演の映画「破門 ふたりのヤクビョーガミ」主題歌として話題を集めた38thシングル。トランペットの渋いフレーズから始まり、スカ・ビートを軸にしたバンドサウンドともにテンションを上げていくこの曲は、今後のライブでも大きな武器になりそうだ。レゲエ、ロックなどを混ぜたアレンジも“ジャム”というテーマを体現している。

5 . 夢への帰り道
BEGINの作詞・作曲によるオーガニックなロックバラード。アコースティックギター、オルガン、ハーモニカなどの有機的な響きのなかで歌われるのは、切なくも前向きな“夢への帰り道”。孤独や不安を抱えながら生きていく決意を感じさせる歌からは、メンバーの表現力の高さが伝わってくる。

6 . えげつない
岡崎体育の手によるヒップホップ・チューン。トラックメイク、フロウを含む音楽的なクオリティの高さ、お笑い混じりのエンターテインメントのバランス感覚の素晴らしさに圧倒される。そして中盤に用意された、この楽曲最大の(?)見せ場は、是非CDで確かめて欲しい。

7 . パノラマ
TVアニメ「モンスターハンター ストーリーズ RIDE ON」主題歌としてオンエア中の36thシングル。キラキラとした光を放つギターサウンド、前向きな気分に満ちたメロディライン、「大事な人 守る為に いざ立ち上がれ」というフレーズがひとつになったパワーソングだ。

8 . Never Say Never
安田章大の作詞作曲による、映画「スパイダーマン:ホームカミング」日本語吹替版主題歌。エッジの効いたギターリフ、サビに入った瞬間に一気にスピード感を増していくバンドサウンド、リズミカルな韻を踏みながら“諦めずにいどめば、必ず未来は開ける”という思いを込めた歌詞など、安田のソングライティング・センスを体感できるロックナンバーだ。

9 . 侍唄(さむらいソング)
錦戸亮主演のドラマ「サムライせんせい」主題歌に起用された34thシングル。作詞・作曲はレキシ(池田貴史)。“時代を越えて、君に会いにいく”というテーマを含んだ歌をじっくりと堪能できるバラードナンバーに仕上がっている。特に錦戸、渋谷の感情豊かなボーカルは絶品。

10 . S.E.V.E.N 転び E.I.G.H.T 起き
ハードにドライブするバンドサウンド、速弾きのギターフレーズなど、70年代ハードロックのオマージュがたっぷり詰まった、UNICORNの作詞・作曲によるロックナンバー。オルガンとギターが絡み合うソロパート、シャウト重視のボーカルなど、メンバーの演奏シーンがリアルに浮かんでくる。

11 . NOROSHI
映画「土竜の唄 香港狂騒曲」の主題歌になった37thシングル。ベース、鍵盤、ギター、トランペットが絡み合うイントロから始まり、ファンクとロックを共存させながら進行するこの曲は、既に関ジャニ∞のライブでも強烈な盛り上がりを生み出している。男気に満ちたボーカルも魅力たっぷり。

12 . 青春のすべて
水野良樹(いきものがかり)が手がけた極上のバラード。穏やかさと懐かしさを併せ持ったメロディラインとともに描かれるのは、青春と呼ばれる時期を過ぎて、それでも前を向いて生きようとする意志。メンバーそれぞれのボーカルスタイルが明確にわかる、豊かな魅力を備えた名曲だ。

13 . ノスタルジア(初回限定盤Aのみ収録)
丸山・安田・錦戸・大倉のユニット曲。トロピカルハウス的なテイストを感じさせるトラックのなかで歌われるのは、これまで歩んできた道のりと“その続き”を進もうとする強い想い。ひとつひとつのフレーズに感情を込めたボーカルを含め、30代になった現在だからこそ表現できる、きわめて質の高い大人のポップソングだ。

14 . Answer(初回限定盤Bのみ収録)
横山、渋谷、村上によるユニット曲。作曲は渋谷、作詞は3人の共作。心地よく飛び跳ねるビート、ソウルフルなメロディライン、次のステージに向かおうとする意志を綴ったリリックが自然に溶け合うこの曲には、様々な出来事を一緒に乗り越えてきた3人のリアルな思いが込められている。

15 . 生きろ(通常盤のみ収録)
渋谷すばるの作詞・作曲によるロックナンバー。メンバーが演奏することを想定してアレンジされたという生々しいバンドサウンド、“夢や希望がなくてもいい。ただ生きろ”というあまりにも切実なメッセージ性を含んだ歌からは、聴く人に対する強い思いが伝わってくる。

16 . JAM LADY(通常盤のみ収録)
安田章大が作詞・作曲を手がけたパーティチューン。“理性を吹っ飛ばし、バカになって楽しもう”モード全開のリリック、スカ~ヒップホップ~ロックなどを自在に取り入れたカラフルなサウンドメイクは、夏のライブにもピッタリ似合いそう。安田の幅広い音楽性を証明する1曲だ。

17 . Traffic(通常盤のみ収録)
ファンキーなギターカッティングを軸にしたこの曲は、錦戸亮のオリジナル曲。性急に突き進むバンドグルーヴと“高速道路あるある”を散りばめた歌詞がひとつになったドライブ感たっぷりのナンバーだ。スラップ・ベース、ギターソロ、トランペットがジャムするような間奏パートも聴き応えたっぷり。


(文:森朋之)
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